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3)視覚障害者による体験
視覚障害者でもある本委員会の委員の体験報告を以下に示す。
調査方法:白杖に磁気テープを取付け、発信機が内蔵されているブロックを中心に10mの間を10往復。足底でブロックを確認しつつ、白杖を基本通りに振って歩行したが、反応なし。
意識的にブロックを叩きながら歩行した場合、辛うじて1回反応あり。
なお、同行した職員がブロックの上を歩行したところ反応があり、確認したところ靴底に磁気が内蔵しているためと判明した。
音声の明瞭度は良好であった。
委員の意見:a.白杖歩行の基本は、約1m前方を肩幅よりやや広めに白杖を左右に突きながら歩く、この原則から言えばブロックには杖先は当たらない。ブロックはあくまでも足底で確認するものであり、ブロックを叩きながら歩くということは、変則的な白杖歩行である。
b.また、津々浦々までブロックが敷かれるということは考えられず、ブロックのないところではどうするのか、また、ブロックはわが国特有の物であり、国際化の今日、海外に行った場合、海外から来日した場合などを考え合わせると、この方式は不合理である。
c.音声誘導は、少なくとも数m手前で音声が発声し、誘導する方式でないと有効性がない。
d.このような視覚障害者が利用するシステムは、開発の過程で視覚障害者が実験立会しなければ、視覚障害者に有効なものにはならない。

 

4)問題点
本システムはまだ試行段階との話であるが、調査結果から指摘できる実用上の問題点を整理すると以下のとおり。
a.磁気を感知する位置の問題:視覚障害者の歩行スピードは健常者と殆ど変わりなく、通常のスピードでは通過してから音が聞こえる。センサーの位置に間題がある。
また杖でブロックをたたいてたどるわけではなく、白杖使用者は足でブロックを感じその周辺の障害物を杖で確認するので、センサーの位置が問題になる。
b.センサーとしての磁気の問題:一部の靴にも反応し音声案内をしてしまう。
また白杖の磁気に対する反応が不安定である。
磁気がセンサーとして最適であるのかどうか、検討が必要。
C.スピーカーの問題:天井のスピーカーの位置と方向およびスピーカー同士の間隔が適切でないと、方向がわかりにくい。
d.共通化の問題:このようなシステムは、全国的な標準化がなされなければ有効ではない。

 

 

 

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